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台風接近でも大丈夫!うつ気分に響く「名作映画」の楽しみ方

 台風接近で体調を崩される方も多いかと思います。以前、ブログでもご紹介した「うつの方は要注意!台風接近前に備えたいこと」で体調管理の注意点をいくつかお話しましたが、もう一つ、有効な方法があります。芸術の秋を思いっきり楽しんでしまうことです。

 

 

 芸術といってもいきなり難解な長編小説を読み始めたり、ジムに通って筋肉を傷めつけるような、難問を突き付けるものではありません。もっと簡単で限られた時間内で楽しめる芸術があるのです。名作映画を鑑賞することです。文芸映画のような難解な作品以外にも、隠れた名作映画はたくさんあります。その中から、マカロニウェスタンの傑作と言われる、セルジオ・レオーネ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』についてお話しようと思います。

 

 

 日本で公開された当時は『ウェスタン』という何とも陳腐なタイトルでしたが、今回、50年ぶりにオリジナル版が只今、上映中です。『ワンス』というタイトルは英語の原作タイトルそのままをカタカナにしただけです。日本語に訳せば、昔、ある時、西部では、という感じでしょうか。

 

 

 レオーネ監督といえば、クリント・イーストウッドリー・ヴァン・クリーフらの名を一躍有名した映画『夕日のガンマン』が有名です。『夕日の』は派手なガンアクションとおどろおどろしい演出が印象的なエンターテイメント性の娯楽映画でした。イタリア本国はもちろんのこと、西部劇の本場アメリカでも、そして日本でも大ヒットを記録しました。

 

 

 『夕日の』はシリーズ化され、いずれも興行的に大成功を納めました。そのせいもあり、レオーネ監督はどちらかというと娯楽映画専門という印象がありました。『夕日の』シリーズに続いて制作されたのが、『ワンス』(当時は『ウェスタン』)です。この映画も当初は映画会社も『夕日の』シリーズと同じ系統のマカロニウェスタンにしたかったようで、当初、上映時間が3時間近い長大な映画でしたが、実際に公開された時にはかなりカットされて短縮版となりました。そのせいもあり、レオーネ監督の演出意図が観客に十分に伝わらず、アメリカでは興行的にも失敗に終わったのです。

 

 

 が、その後、同映画はしだいに映画関係者の間で評価する声が高くなり、今では名画の一本に数えられるようになりました。今回、短縮版ではなく、オリジナル版でリバイバル上映されることになり、映画ファンを狂喜させています。

 

 

 テレビでも何度も放送されているので、ご覧になった方も多いと思います。私もそうでした。実は、私は数年前にBS放送で『夕日のガンマン』をノーカットで放送していたのを見て、目から鱗が落ちる思いをしたことがあります。何々劇場の2時間の放送枠では当然ながら、大部分をカットせざるを得ません。映画本編の放送時間はせいぜい1時間半ほどですから仕方がありません。でもノーカット版は違いました。まるでまったく別の映画を観ているかのような感覚でした。1シーン1シーンが長く、顔のクローズアップが延々と続きます。文字通り、手に汗握るような決闘シーンが展開されるのです。

 

 

 今回の『ワンス』も前述のように、ノーカットのオリジナル版での上映です。これは是非とも劇場で圧倒的な映像を堪能するしかありません。『ワンス』は鉄道の敷設が進み、開拓時代の西部が終わりを告げようとしている時代背景に、銃の早打ちでのしてきたガンマンたちが一人また一人と去っていく様をノスタルジックに描き出します。ただの派手なマカロニウェスタン映画ではないのです。ある意味、イタリア人(外国人)から見た西部劇へのオマージュと言えます。

 

 

 かつてのマカロニウェスタンのスター俳優だったクリント・イーストウッドの監督映画『許されざる者』は、アカデミー賞の作品賞をとりましたが、同映画はセルジオ・レオーネ氏へ捧げた映画でもあります。

 

 

 イーストウッド氏はアメリカ映画の偉大な財産である西部劇をもう一度撮りたかったと語っています。さすがはなかなかいいことを言いますね。レオーネ監督の『ワンス』が西部劇へのオマージュであるならば、今度はレオーネ氏に敬意を表して、イーストウッド氏にとって最後の西部劇という『許されざる者』を制作したというわけです。

 

 

 そうした経緯があることはさておき、皆さん、是非とも映画館で『ワンス』のリバイバル上映を鑑賞されることをお勧めします。上映時間が3時間弱という長尺映画ですから、じっくりと映画の世界に浸ることができます。

 

 

 これこそ、芸術の秋にふさわしい映画だと思います。映画館ならば座ってポップコーンを頬張りながら、楽ちんに芸術鑑賞が出来るのもいいところですね。レオーネ監督の西部劇の世界に没頭すれば、台風が接近してきてもうつなど寄せ付けないことでしょう。小難しい文芸映画ではなく、レオーネ監督の映画ならば肩も凝りません。ただし、かなり上映時間が長いので、身構えずに気楽に鑑賞することをお勧めします。