明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

令和の「仕事始め」を前に「うつ」の方が心掛けたいこと

 長かった正月休みもあとわずかとなりました。明日は、豊洲市場で恒例の初競りがあります。昨年、初競りで大間のクロマグロを競り落としたのは、大手寿司チェーンでした。その値は3億3360万円という非常に馬鹿げたものでした。今年はさらに高額で競り落とすことでしょう。3億数千万というとキロ当たり120万円となり、これではアラブの石油王かどこかの独裁者くらいしか手が出ませんね。そんな馬鹿高いまぐろ、食べたいと思いますか?私は別のネタにしますね。そんな馬鹿々々しいことに加担したくありませんから。

 

 

 問題はクロマグロの競り値ではなく、初出勤のことです。今年は有難いことに、例年とは違い4日が土曜日のため、6日の月曜日が仕事始めとなります。もし今このブログを読んでいて、辛い気持ちになった方はこのセンテンスは飛ばし読みなさっても構いません。うつの方にとって、もっともつらいのは月曜日の朝ですが、なお悪いことに今年は月曜から会社に出勤しなくてはいけません。これは雨の日と月曜日が重なるよりも数倍、つらいことなのです。このまま時が止まってくれればいいのに、と願わずにはいられないほどです。

 

 

風情のない「仕事始め」

 

 

 少し前までは仕事始めといえば、証券取引所大発会に見られるような若い女性社員の晴れ着姿が付きものでした。普通の企業でも、女性社員は晴れ着姿で出社しました。もちろん、あんな衣装のままでは通常の業務などできるはずもありません。そもそも仕事始めの日には、挨拶だけで三々五々、退社して、営業職の人はお得意さんへ挨拶回りしたり、神社に部署の皆で初詣に行ったりするだけで終わりでした。ましてや晴れ着の女性たちは”お人形さん”ですから、午前中で引き上げるのが普通でした。

 

 

 そういえば最近は、仕事始めの日に晴れ着姿をほとんど見掛けなくなりました。その日は晴れ着でなくても、午前中に挨拶だけですぐに引き上げたものです。ところが今やそんな暢気な仕事始めの光景はとんと見られなくなり、仕事始めにはちゃんと普段どおりに仕事をしなくてはなりません。むしろ、昨年積み残した仕事を片付けるのに忙しい有様です。

 

 

 今年は令和初のお正月です。そして仕事始めも令和になって初めてです。それならば、いきなりがりがり仕事をするのではなく、もっと気持ちに余裕を持って、今年一年間の仕事運を神社に祈願するなど、仕事始めらしい日にできないものでしょうか。日本人は昔からお正月を大切にしてきましたし、初詣や初節句など初めて事を行う日は特別な日と考えていました。仕事始めも同様だと思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?

 

 

 一言でいえば、世知辛い世の中になったということなのかもしれません。何でも合理主義あるいは功利主義が優先され、儀礼的な事柄は隅へと追いやられたのです。夏目漱石の「草枕」にある有名な一節、

 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくこの世は住みにくい。

 とは、まさしくその通りですね。果たして、この金言が現在の合理主義に対して発せられたものかどうかはわかりませんが、智に働かずとも、情に掉ささずとも、意地を通さずとも、住みにくい世になったことは間違いありません。

 

 

「その日」までに心掛けたいこと

 

 

 さて、この「仕事始め」問題をどうすればよいのか。とくにうつの方がどのようにしてこの日を乗り越えるのか。それこそが大問題なのです。よりによって今年はその日が月曜日なのです。まず最初にやるべきことは、一度、頭の中から出勤日のことを追い払うことです。そして時間を気にしないことです。全能の神でさえも時間を止めたり遡ったりすることは出来ません。時間をこれから正月休みに入るという昨年の年末に戻すことは誰にもできないのです。こうしている間も刻一刻と時間は流れていきます。時間に逆らっても勝ち目はありません。唯一、時間のことを考えないようにすることなら出来るはず。さあ、今の瞬間から時計は見ないようにしましょう。

 

 

 どんなに趣味に没頭していようとも、時間は過ぎてゆきます。でも時間を気にしなければ、いつまでもそのことに集中できるのではありませんか。好きなことをしている時、たとえば趣味の盆栽でも、読書でも、年末のお菓子袋を空っぽにするまで食べつくすのでも、何でもいい。何かに集中しましょう。その間は、あなたは何事にもとらわれずに済みます。カウントダウンしながら、休日を過ごすほどつならないことはありません。

 

 

 次に、没頭して過ごした後には、少しブレークが必要です。リラックスできることなら何でもやりましょう。アロマオイル入りのお風呂に浸かるのも良し、バッハの平均律クラヴィーアを聴くも良し。(個人的には、リヒテル平均律全曲集をお勧めします)。ウォーキングなど軽い運動もとても効果的です。でもジムで思いっきり筋トレをするよりも、軽く汗を流す程度にとどめておいた方がいいと思います。もちろん、ストイックに筋肉を鍛え上げるのが何よりもリラックスできるという方は別ですが。リラックスするための有効な方法があります。美味しいコーヒーをゆっくりと味わうことです。コーヒーの香ばしい香りと深い味わいでリラックス効果は倍増するはずです。

 

 

 睡眠時間はなるべくしっかりととった方がいいでしょう。睡眠不足は神経をすり減らす要因になります。でも前述のように時間にとらわれないで生活すると、必ず眠くなるタイミングがあります。昼間に眠くなったら、少し昼寝をすればよいのです。朝早く目が覚めたらすぐに起きだして、何かをやりましょう。ぐずぐずといつまでもベッドに入ったまま過ごすのはもったいないですよ。早く目が覚めたらラッキーです。それだけ好きなことに集中できる間が多くとれるわけですから。

 

 

 人間の三大欲求に睡眠欲があります。早起きした分、日中にやれることが増えますから、リラックスタイムを挟みながら日中を過ごしていると、夜になれば必ず眠くなります。眠くなったら眠ればよろしい。何かに集中する、リラックスする、眠い時は寝るというサイクルを繰り返すことで、自然と生活のリズムが整ってきます。そうなれば、こっちのものです。やがて日付けが変わり、翌日になり、そしていつの間にかごく自然に仕事始めの日の朝を迎えることが出来ることでしょう。無理やり、仕事始めに備えて、早寝早起きしなくてはなどと考えなくても、ご自分の生活サイクルが自然といつものウィークデイに合致してくるものなのです。案ずることはありませんよ。あなたは鳥のように自由に過ごせたのですから。