明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「うつ」を遠ざける「内なる癒し」について

 月曜日の朝には、まるで体が鉛のように重く感じられて、ベッドに沈みこまれてしまいそうな気がする。そんな経験はありませんか。そう言えば、日曜の夕方から明日の月曜のことが頭から離れず、ひどいときには吐き気や頭痛といった体調不良に見舞われることもあります。これが「うつ」の症状です。

 

 

 私自身、うつ症状がひどくなり、ついには通勤電車に乗れずに駅のベンチにうずくまり、しばらく動けなくなったことがあります。さすがに、これはただごとではないと思い、精神科で治療を受ける決心をしたのです。精神科はもちろん初めてでしたので、おっかなびっくりでしたが、幸いなことに先生がとてもソフトな物言いをされる方で、促されるままに、小一時間、堰を切ったように悩みを吐き出しました。そこから本格的な治療が始まったのです。

 

 

 先生から言われたのは、まず無理をして会社に行くのはやめましょう、しばらく休養しましょうということでした。半年ほど休職してリハビリを続け、やがて復職できるまでに回復しました。それでも、半年間は長かった。以前、このブログに書きましたが、人込みに慣れるために「図書館トレーニング」をして、徐々に普段の生活に戻れるようしていったのです。

 

 

 あれから数年経ちましたが、いまだに精神科の治療を続けています。一応、うつ病の症状は緩和されて、復職しても差し支えないと先生は判断されました。今のところ、症状は治まり精神的にも安定してきたように思います。でもうつ病は完治するのがなかなか難しい病気です。再発しないように、日常生活では過度のストレスを避けて、規則正しい生活で体調を整えることなどを心掛けています。

 

 

陰に潜む「うつ」

 

 

 それでも「うつ」はまるで影のようにいつでも自分のすぐ後ろにいるのです。健康状態が良く、気持ちが安定している時には、正面から日差しを浴びている時に後ろにできる影の中で、「うつ」はじっとしています。でも、前述したような週末明けの月曜日の朝などには、再び「うつ」が正体を現し始めます。彼(うつのこと)が動き出さないようにするためには、自分自身が「うつ」を抑え込めるだけの力を持つしかありません。

 それにはどうすれば良いのか。

 

 

 事物には光と影があるように、健全な自分とそうでない自分が背中合わせになっているのです。例えば、風邪をひいて極端に体調を崩してしまった時や、強いストレスに晒されて神経がすり減ってしまった時などが一番、危険です。影の中に潜んでいた「うつ」が再び動き出さないようにしなければなりません。

 

 

 「うつ」を制覇するには、”武器”が要ります。「癒し」の力です。いかに「癒し」パワーを発揮できるか。それには、「内なる癒し」が鍵となるのです。

 「内なる癒し」を高める方法について、お話したいと思います。

 

 

 人間には誰しも本能的に防御する反応が備わっています。身に危険が及びそうになると、意図せずとも危険を事前に察知し、避けようとするのです。精神的な「反射神経」のようなものです。例えば、密かに思いを寄せる異性がいて、その人がとても自分の身の丈に合いそうにない時には、皆さんはどうしますか?当たって砕けろの特攻隊のような精神でアタックしますか、それともやはり無理に口説くのはやめてもっと身の丈になった別の相手を探しますか。

 

 

 おそらく後者を選ぶ方が多いかと思われます。もちろん、アタックしないことにはどんな結果になるかわからないでしょうが、もし無残にも降られてしまったら、失恋による痛手はかなり深くなることでしょう。痛い目に合わないように、心に防御反応が生まれるからこそ、ブレーキが掛かるのです。

 

 

 この精神的な「防御」はうつを遠ざけることにも大いに力を発揮してくれます。「うつ」が顔を覗かせようとする時は、精神的に疲弊している状態にあると考えられます。風邪をひいて身体が弱っている時には、肺炎に罹りやすくなるといわれますが、心が弱っているときも、同様です。こういう時には、「内なる癒し」を高めることが必要です。

 

 

「内なる癒し」を高める

 

 

 「内なる癒し」は人それぞれです。気持ちをリラックスさせて疲弊した部分を揉みしだくような感じです。リラックス法は多種多様です。お好みにより違って当然です。要するに、気持ちが落ち着いて疲れが抜けるような感じになれば良いのです。ご自分に合ったリラックス方法がわかれば、このままでは「彼」が顔を覗かすかもしれないと危険を察知した際に、その方法で「内なる癒し」パワーを高めればいいのです。

 

 

 リラックス方法というのは、言い換えれば、「上手に気分転換を図る」ことです。うつの方にとって辛い月曜日を乗り越えるには、週末の過ごし方がとても重要です。休みの日には、いつまでもベッドの中でぐずぐずする方も多いようですが、それではたった二日間、あるいは三連休があまりにももったいないと思います。

 

 

 睡眠を十分にとることは大切ですが、寝るだけなら平日でもできます。週末には、通勤電車に乗る必要もないし、仕事に追われることもありません。自分自身で計画を立てて好きなように過ごせる貴重な時間なのです。のんべんだらりとするのも風邪気味で体調が優れないのならば仕方がありませんが、体調に問題がなければ、オフの一日をフルに活用しない手はありません。

 

 

 ウィークデイがオンならば、週末はオフです。オフというのは、電源を抜いて動きをとめることではありません。仕事モードのオンから休日モードへと気持ちのスイッチを切り替えることです。オフタイムには、朝目覚めたらゆっくりと温かいカフェオレとスクランブルエッグなどで時間をかけて朝食をとりましょう。軽く散歩してから、少し遅めの時間に昼食兼用のブランチタイムを楽しむのもいいでしょう。普段のせわしない時間とは違い、ゆっくりゆったりと食事を楽しむと心に余裕が生まれます。さて、食事の後には何をしようか考えましょう。

 

 

 アクティブ派は、この時期にはやはりウィンタースポーツです。今年は記録的な雪不足ですが、十分な積雪のあるスキー場など探せばいくらでも見つかりますよ。友人を誘って、早朝に出発して、スキー三昧の週末を過ごすというのは、実に素晴らしい。日頃あまり体を動かさない方は多少の筋肉痛になるかもしれませんが、それくらいどうということもありません。大事なことは、思い切りスポーツに没頭することです。

 

 

 ノンアクティブ派の方々は、新作映画を観に行くのもいいですし、ショッピングを楽しむのもいいですね。多少、出費はかさむかもしれませんが、デパートをひやかして、気に入った服があれば思い切って買ってしまいましょう。そのあとにちょっと贅沢をして鰻屋か天ぷら屋さんでおいしい夕食を楽しむとさらに充実した気持ちになること請け合いです。あとで、財布の中身が寂しくなるのも、この際、覚悟しましょう。

 

 

 アクティブ、ノンアクティブ派も、オフを自分なりの方法で満喫すればよいのです。オフを充実させること、リラックスタイムを楽しむ余裕を持つこと、この二つがあれば、あなたの「内なる癒し」パワーは週末のうちにすっかり満タンに充填され、週明けには「うつ」の出番などなくなるはずです。