うつには大敵!「秋の夜長」にぐっすり眠る方法
秋の夜長にはつい夜更かしして寝不足で翌朝、起きるのがつらい、などという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。夜更かしの習慣が出来てしまうと、いざ寝ようとしてもなかなか寝付けずに寝不足になりがちです。実は、うつの方にとっては睡眠不足が大敵なのです。夜更かしと寝不足の悪循環を繰り返すうちに、昼夜逆転の生活になってしまうというケースも少なくありません。
精神科医の診断を受ける際に必ず質問されたのは、ちゃんと睡眠時間をとっていますか、ということでした。睡眠不足はうつの症状を悪化させる危険性が高いのです。
夜更かし癖が付かないうちに、秋の夜長にぐっすりと眠るための方法をいくつかお話したいと思います。実際に私の体験して効果があった方法です。
カウチポテト族を卒業する
テレビを見ながらポテトチップを頬張るのが大好きな人のことをカウチポテト族といいますが、もしかしてあなたにも少しは思い当たる節がありませんか。夕食を済ませた後、バラエティ番組やドラマなどを見ながら、何となく口さみしくなって、ついついスナック菓子やチョコレートなどのスイーツを食べてしまう。間食の習慣もなかなか断ち切りがたいものです。とくにダイエット中の方には間食は絶対いけませんね。
ダイエット中でもどうしても間食をやめられないので、お菓子やジュースを一切、買い置きしないように心掛けたという話を聞いたことがあります。確かに手の届くところにお菓子や甘いものなどが置いてあると、つい手を伸ばしてしまうものです。テレビを見ながら、本や雑誌を読みながら、スマホでゲームをしながら、等々。ながら間食するのはダイエット中はもちろんのこと、質の高い睡眠をとるためにも、是非控えましょう。
いざ床に就いた時に、夕食に加えてせんべいやらチョコレートなどを消化するのに胃は休まるどころではありません。これではぐっすりと眠れるはずもありませんね。良い睡眠をとるためには、寝る前にあまり胃の中に食べ物が残っているような状態にしないことが肝心です。
部屋の明かりを徐々に落とす
明日は出張のために早起きするので、いつもより早い時間に寝ようとしてベッドに入ったものの、なかなか寝付けずに結局、いつもと同じ時間になってようやく眠れた、などという経験をお持ちではないでしょうか。早く寝なくてはと思えば思うほど、頭がさえてしまって、寝付けなくなってしまう。脳はなかなか思い通りにはならないもののようです。
脳の眠りモードに切り替えるためには、いきなりさあ寝ようではうまくいきません。それなりのプロセスを経る必要があるのです。その一つが、部屋の照明を少しずつ暗くしていくというやり方です。
まるで昼間のように明るい照明のままでいると、なかなか眠気がやってきませんね。もちろん、スポーツやジムなどで激しい運動をして体が疲労すれば、どんな環境であろうと眠くなることでしょう。でもデスクワークや接客などでそこそこの精神的な疲労感あるくらいでは、むしろ頭が冴えてしまい、寝つきが悪くなることもあるのです。
夕食後にゆっくりと入浴した後には、リビングや書斎の照明を少しずつ落としましょう。天井のシーリングライトでも照度を調整できるタイプのものもあります。いきなり真っ暗にするとものにぶつかったり、何かを踏みつけてしまったりするので、すべての照明をオフにするのではなく、出来れば間接照明にして、それらの照明を少しずつ減らしていくのが理想的です。初めのうちは、何だか部屋がうす暗いなと違和感を覚えるかもしれませんが、慣れてくるとすこし照明が少ないくらいの部屋の方が落ち着くものです。
徐々に明かりを落としていけば、脳内の睡眠モードのスイッチが切り替わって、自然な眠りに落ちていくことでしょう。あくびが出始めて、ベッドに横になった途端に寝付いてしまう、というのが最高ですね。
寝る2時間前にはスマホ・パソコン、テレビは見ない
片時もスマホを手放さない”スマホ中毒”の方には、この方法を実行するのは非常に困難かもしれませんね。スマホでラインやツイッター中のあなたには、酷な話かもしれませんが、睡眠をもっとも妨げる要因は、実はスマホの画面を目で追い続ける行為を長時間続けることなのです。そうすることで、脳は疲労しても覚醒しつづけなければと思い込み、睡眠どころではなくなるからです。
パソコンで明日のスケジュールをチェックしたり、つい仕事をしたりも、良くありません。頭の中の睡眠スイッチが切り替わらないのはもちろん、精神衛生上、オンとオフの区別がない生活というのは良い状況ではありません。どこかで気分転換を図らないと、心が擦り切れていき、うつを発症しかねません。ストレスを上手に解消していくことがうつの方にはとても大事です。そのためには、まず十分な睡眠をとることが不可欠です。
質の高い睡眠を得るために、最低でも1時間前にはスマホ、パソコンから離れていましょう。テレビも画面がチラチラするのが良くないのです。視覚の刺激が続くとなかなか睡眠スイッチはオンにならないものです。
まとめ
照明を落とし、スマホもやらないとなると皆さん手持無沙汰になるはずです。読書するにも部屋が暗くては文字が読めませんね。ではどうすればいいでしょうか。私がお勧めしたいのは、音楽を聴くことです。間違っても大音量でデスメタルを聴いてはいけませんよ。音量を絞って小さな音で自分が一番リラックスできる音楽を聴くことです。
アイドル歌手や全米の最新ヒットチャートの曲を聴くというのもあまりお勧めしません。あくまでもリラックスするための音楽がいいのです。大好きなアーティストのCDなどを聴き始めたら、却って頭が冴えてきてしまうかもしれません。
私が試したのは、最初はジャズのピアノトリオやクラシックのCDでした。でもそもそもそれらの音楽が大好きなので、あまり効果がありませんでした。それならば、環境音楽はどうか。ブライアン・イーノのCDをまとめ買いしてオブスキュア・レーベルのCDを聴きました。これはまあまあ効果がありました。確かに眠くなりました。
効果抜群だったのは、雨の音だけが入ったCDです。これは1時間分、屋久島かどこかの森深くでしんしんと降り続く雨音が収録されているものです。さーとした雨音から木の葉からぽたぽたと落ちる雫の音まで聞こえてきて、自分が遠い世界の森深く、木陰で雨宿りているような錯覚になりました。そんなことを想像しながら、いつしか私は深い眠りについていたのでした。